バーやスナックなど、お酒をメインに提供するお店が、深夜帯(午前0時※ から 午前6時)に営業する場合は、警察署(公安委員会)に「深夜における酒類提供飲食店営業」開始の届出をする必要があります。 ※一部地域は午前1時

バーの深夜営業は風営法許可が必要?
「バーの深夜営業許可」という言葉を耳にすることがありますが、実際には「深夜酒類提供飲食店営業」は、【許可制】ではなく【届出制】がとられています。つまり、許可を取得するのではなく、届出を行うことで営業を始めることができるのです。
「深夜における酒類提供飲食店営業」の営業開始届出が営業所を管轄する警察署に受理されると、受理の日から10日後に深夜の酒類提供が可能になります。
一方、【許可制】がとられているのは、風俗営業(1号営業)であるキャバクラやホストクラブなどの接待行為を行う社交飲食店です。こちらは、営業所を管轄する警察署へ許可申請を行い55日以内の審査期間を経て許可が下りれば営業を開始することができます。
「風俗営業(1号営業)」は深夜営業はできません。「深夜酒類提供飲食店」は深夜営業はできますが、接待行為はできません。1号営業と深夜酒類提供飲食店は併用することはできません。「深夜酒類提供飲食店」をしたい場合は、お店のサービスが接待行為に該当しないように注意する必要があるんですね!
接待行為とは
では、深夜酒類提供飲食店営業が行うことができない「接待行為」とは何でしょうか。
「接待」とは、歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすことをいう。
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第2条第3項
例えば、
- お客さんへお酌をする、談笑する
- お客さんとデュエット・ダンス・ゲームをする
- 特定のお客さんにカラオケを勧め、手拍子・拍手・褒めはやす
- お客さんに歌、ダンスやショーを鑑賞させる
- 必要以上のスキンシップ(隣に座る、手を握る、体を密着させる)
こういった行為は、接待行為に該当するため、深夜酒類提供飲食店営業では行うことができません。
気を付けるポイントは、「特定のお客様」「物理的な距離の近さ」「接客にかける時間」の3つです。ガールズバー、コンセプトバー、コンカフェ、メンズコンカフェなど、キャストとお客様の距離感が近い接客が想定される業態では、特に注意が必要です。
深夜酒類提供飲食店営業開始届出の必要書類

深夜における酒類提供飲食店営業の新規開始届出に必要な書類 福岡県警察HPはこちら | |
1.深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出書 | 様式あり ダウンロードはこちら |
2.営業の方法を記載した書類 | 様式あり ダウンロードはこちら |
3.店の平面図・求積図・立面図 | 店舗を測量し、図面を描きます |
4.照明・音響設備の配置図 | 店舗の照明の位置、音響設備の位置を図面に描き入れます |
5.用途地域証明書(法定外書類) | 福岡市の場合webマップ印刷 |
6.営業許可通知書の写し(法定外書類) | 保健所発行のもの。申請中の場合は、営業許可申請中証明書 |
7.メニュー表(法定外書類) | あれば提出 |
8.従業者名簿(法定外書類) | あれば提出 |
9.誓約書 | 警察署により所定書式が準備されている場合があります |
<個人経営の場合> 住民票(本籍が記載されたもの) | 本籍地記載のもの、マイナンバーは記載しない |
<法人営業の場合> 法人の定款の写し | 原本証明が必要 |
<法人営業の場合> 法人の登記簿謄本(履歴事項全部証明書) | 法務局で取得 |
<法人営業の場合> 役員全員の住民票 | 本籍地記載のもの、マイナンバーは記載しない |
上記は、福岡県の警察署届出書類です。警察署により求められる書類に多少の違いがありますので、営業所を管轄する警察署のHPを確認のうえ、不明点は必ず警察署にお問い合わせください。

1.深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出書

【日付】
提出する日を書きましょう
【氏名又は名称】【住所】
個人の場合:住民票記載通りの氏名・住所を書きましょう
法人の場合:履歴事項全部証明書通りの法人名・住所を書きましょう
【営業所の所在地】
賃貸借契約書の記載通りに書きましょう
【建物の構造】【建物内の営業所の位置】
賃貸借契約書の記載通りに書きましょう
【客室の総床面積】
求積図と一致する面積を書きましょう
【照明設備】【音響設備】
照明・音響設備の配置図 と一致する設備を書き入れます。位置は別紙・照明・音響設備の配置図 で明示します。
「住所」や「所在地」「営業所の構造及び設備の概要」には、住民票、賃貸借契約書、履歴事項全部証明書などの通りに記載しましょう。例)中洲3-9-15 → 中洲三丁目9番15号
2.営業の方法を記載した書類

【営業所の名称】【営業所の所在地】は、1.の届出書の記載と一致させた表記をしましょう
【18歳未満の者を従業員として使用すること】夜10時以降、18歳未満の者に客に接する業務をさせることはできません。
【18歳未満の者を客として立ち入らせること】夜10時以降、18歳未満の者を店に立ち入らせることはできません。
【客に遊興をさせる場合はその内容及び時間帯】深夜0時以降、顧客に「遊興させる」ことはできません。「遊興させる」とは、カラオケ大会やビンゴ大会などのイベントを店側が積極的に行うことです。
単に顧客が自発的にカラオケをすることは遊興に該当しません。
3.店の平面図・求積図・立面図
実際に店舗を測量し、図面を描きます。行政書士に依頼をすると、CADなどを使用して図面を作成してくれます。
パソコンなどを使用せずに手書きの図面を提出することも可能です。その場合は、定規を使用して、出来る限り長さ(縮尺)を正確に描くようにしてください。図面を基に面積を計算します。図面の数字に矛盾があると図面が描きなおしになります。
<<福岡県警が公開している図面記載例>>
●平面図
営業所(店舗全体)を上から見た配置図。椅子・テーブル・カウンター・衝立などの立面図といっしょに1枚にまとめてもOKです。

●求積図
測量データを基に、客室面積・調理場面積・その他の面積を記載する。客室については計算根拠となる計算式を記載します。

●立面図
椅子・テーブル・カウンター・衝立などの計測したデータ・個数を記載する。高さ1m以上の見通しを妨げるものがないことが確認されます。

4.照明・音響設備の配置図
3.の平面図に、照明設備・音響設備を種類ごとに位置を書き込みます。1.の届出書の記載と必ず種類や数量が合うように作成します。
照度20ルクス以上を保つことができるか、騒音問題が生じないかなどが確認されます。私はスライダックスを撤去した場合は、こちらに撤去後のスイッチの画像を載せて「スライダックス撤去済。照度20ルクス以上確認済」と書くようにしています。
5.用途地域証明書(法定外書類)
福岡市の場合は、該当住所の用途地域を確認できるWebマップの印刷が、証明書の代替として使用できます。警察署によって対応が異なりますので確認しましょう。用途地域証明書は、市役所の都市計画課などで交付申請すれば入手できます。

この用途地域証明書は、深夜酒類提供飲食店営業の届出には、「法定外書類」という扱いですので、提出しなくても受理はされます。ただし、出店しようとする場所が営業禁止区域(福岡県の場合、住居専用地域・住居地域)に該当しないかを必ず確認する必要があります。
福岡市webマップ
例として、福岡市役所の所在地を印刷しました。
6.営業許可通知書の写し(法定外書類)
保健所発行の営業許可通知書のコピーを準備しましょう。申請中の場合は、営業許可申請中証明書で構いません。
この書類は法定書類ではありませんが、深夜酒類提供飲食店を営業するためには飲食店営業許可が必須ですので提出しましょう。
7.メニュー表(法定外書類)
法定書類ではありません。届出日までにメニュー表が完成していれば提出しましょう。どのような料金体系でどのようなお酒や食べ物を提供するのかを明らかにすることで、届出の際、お店の形態をイメージしてもらいやすくなります。
8.従業者名簿(法定外書類)
法定書類ではありません。届出日までに採用や作成が間に合えば提出しましょう。なお、この従業者名簿は、営業開始の届出時は法定外資料ですが、名簿を営業所に備え付けることは義務です。警察の立入り調査や巡回の際には必ず確認されます。▼従業者名簿についてはこちらの記事をご覧ください。
9.誓約書

警察署によって所定の書式が用意されている場合があります。
←福岡中央警察署の誓約書です。詳細はこちら
所定の書式がない場合も、誓約を求められる内容は、おおむねこの書式と同じです。
個人経営の場合
・届出者の住民票(本籍が記載されたもの、マイナンバーが記載されていないもの)
法人営業の場合
・法人の定款の写し(最後のページに原本証明をします)
原本証明:” この定款の写しは、原本と相違ありません。令和〇年〇月〇日 住所 法人名 代表取締役〇〇〇〇 印 ”
・法人の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
発行から3か月以内のもの
・役員全員の住民票(本籍が記載されたもの、マイナンバーが記載されていないもの)
登記簿謄本に記載された役員全員の住民票が必要です。監査役を含みます。
まとめ
以上、深夜酒類提供飲食店の届出に必要な書類を紹介しました。最後に、福岡県警察中央警察署が公開している「深夜における酒類提供飲食店営業の新規開始届出に必要な書類」一覧表をご紹介します。
非常に分かりやすく整理されていますので、届出の際の参考資料としてご活用ください。ただし、他の都道府県警察に届出を行う場合は、内容が異なる場合があります。必ず管轄の警察署の必要書類を確認しましょう。

▼お好みの方法でお気軽に▼

投稿者プロフィール

- 申請取次行政書士。外国人の在留資格に関する申請(認定証明書交付申請、変更許可申請、更新許可申請)、深夜酒類提供飲食店届出、風営許可申請を専門分野にしています。ご依頼者様の「時間」「想い」を大切に、あなたのビジネスを成功へ導きます。
最新の投稿
コラム12月 23, 2024在留カードの更新・変更申請中に在留期限を迎えたら要注意!
コラム12月 18, 2023深夜酒類提供飲食店の従業者名簿とは
コラム12月 7, 2023LINE・WhatsApp・WeChatのアカウントを開設しました♪
コラム12月 5, 2023福岡市エンジニアビザ制度