バーやスナックなどで深夜営業をしたい場合は、「深夜酒類提供飲食店」の営業開始届出をする必要があります。実は、この「深夜酒類提供飲食店」の営業ができない場所があることをご存知でしょうか?営業所(店舗)が営業禁止区域にある場合は、届出が受理されません。
例えば、閑静な住宅街の戸建てやマンションに囲まれた場所で、バーやスナックなどお酒を提供するお店が深夜に営業をしていたら。就寝時間帯に酔客が店舗の内外で話す声が聞こえる、客がケンカをしている、複数の人が夜間に出入りをする、カラオケの音が聞こえる、、、住民の安全な住環境がおびやかされる心配がありますね。ですから、深夜酒類提供飲食店が営業できる場所は地方自治体の条例により禁止地域が定められているのです。

深夜酒類提供飲食店の場所的要件
深夜営業が禁止されている地域については、地方自治体の条例に定められています。
ですから、深夜営業をしようとする店舗の候補があがってきたら、その場所の「用途地域」は何かを契約前に必ず確認しましょう。
不動産屋さんに確認してもいいですし、現在、多くの自治体が用途地域をインターネット上で公開していますので「〇〇市 用途地域」などで検索してみましょう。
福岡市の用途地域の調べ方
福岡市のポータルサイト「Webマップ」で調べることができます。
https://webmap.city.fukuoka.lg.jp/fukuoka/Portal
①「都市計画情報及び指定道路」を選択。→②「都市計画情報マップ」を選択。


③検索したい住所を入力。→④次の画面下に住所リンクが表示されるのでクリックする。


⑤地図が表示される。→⑥住所上の「+」マークを右クリックすると、左に詳細情報(用途地域)が表示される。


印刷ボタンを押下すると、地図と情報を印刷することができます。
以上が、福岡市の用途地域の調べ方です。それぞれの出店場所について「〇〇市 用途地域」を検索して確認してみましょう。
福岡県の深夜営業禁止区域
では、次に深夜酒類提供飲食店を営業できない用途地域について解説します。
○風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例(福岡県条例第三十号 )
(深夜における酒類提供飲食店営業の禁止地域)
第二十七条 深夜において酒類提供飲食店営業を営む者は、第二条第一号に掲げる地域においては、その営業を営んではならない。
第二条第一号 都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第八条第一項第一号に規定する第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域又は田園住居地域
福岡県条例では上記のように定められています。
まとめると、深夜酒類提供飲食店の深夜営業が禁止されている用途地域は、以下となります。
第一種低層住居専用地域 | 第二種低層住居専用地域 |
第一種中高層住居専用地域 | 第二種中高層住居専用地域 |
第一種住居地域 | 第二種住居地域 |
準住居地域 | 田園住居地域 |
上記は、福岡県の条例で深夜営業が禁止された地域ですが、他のほとんどの都道府県でも同様に住居系地域での深夜営業が禁止されています。
では、深夜酒類提供飲食店を営業できるのはどの用途地域ですか?
以下が、深夜酒類提供飲食店の深夜営業が禁止されていない用途地域です。
近隣商業地域 | 商業地域 |
準工業地域 | 工業地域 |
これら4つの地域は、深夜酒類提供飲食店の営業が可能です。
用途地域は、大きく「住居系地域」「商業系地域」「工業系地域」に分けられており、さらに細かく13種類の地域に分類されています。住居系の地域では深夜営業ができません。
中洲のように、明らかに繁華街に位置する場合は心配ありませんが、物件を選ぶ際には、その所在地がどの用途地域に該当するのかを確認しましょう。
深夜酒類提供飲食店営業の届出が不要なケースは

そもそも①
【お酒をメインで提供するお店であるが、深夜営業をしない場合】
→深夜酒類提供飲食店営業の届出は必要ない。
飲食店営業許可を取得していれば、0時まで営業可能
そもそも②
【お酒をメインで提供するお店でない飲食店が、深夜営業をする場合】
→深夜酒類提供飲食店営業の届出は必要ない。
お酒をメインで提供するお店でない飲食店=ラーメン店、レストラン、焼き鳥屋など
これらの場合は、深夜酒類提供飲食店営業の届出は不要ですので、保健所から飲食店営業許可を取得してお店をオープンすることになります。
飲食店営業許可には厳しい場所的要件は設けられていませんが、一部住居専用地域に制限があります。
飲食店営業許可の用途地域制限
飲食店営業許可の場所的要件について解説します。
<飲食店営業できない地域>
- 工業専用地域
<飲食店営業を行うために制限がある地域>
- 第一種低層住居専用地域
:店舗兼住宅で、店舗床面積が50㎡以下かつ建物の延べ面積の2分の1未満のもののみ可能 - 第二種低層住居専用地域
:店舗兼住宅で、店舗床面積が50㎡以下かつ建物の延べ面積の2分の1未満のものは可能。喫茶店なら店舗床面積が、150㎡以下で2階以下なら可。 - 第一種中高層住居専用地域
:500㎡以下で2階以下であれば可能 - 第二種中高層住居専用地域
:1500㎡以下で2階以下であれば可能 - 田園住居地域
:農産物直売所、農家レストラン等
以上が飲食店営業に設けられた用途地域制限です。
深夜酒類提供飲食店営業を行わない場合も、飲食店を開業する際には、用途地域を確認しましょう!
深夜酒類提供飲食店の営業禁止区域のまとめ
福岡県の条例では、住居系地域の深夜営業が禁止されておりますので、商業系地域又は工業系地域であれば深夜酒類提供飲食店の営業が可能です。
なお、風俗営業法1号許可申請の場合は上記に加え保全対象施設(学校や病院など)との距離制限があります。深夜酒類提供飲食店の場合は、保全対象施設の制限はありません。
深夜酒類提供飲食店の開店を考えている場合は、まず店舗の住所が深夜営業が可能な用途地域かどうか調べましょう!
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投稿者プロフィール

- 申請取次行政書士。外国人の在留資格に関する申請(認定証明書交付申請、変更許可申請、更新許可申請)、深夜酒類提供飲食店届出、風営許可申請を専門分野にしています。ご依頼者様の「時間」「想い」を大切に、あなたのビジネスを成功へ導きます。
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