最近、出入国在留管理庁での「在留資格変更許可申請」「期間更新許可申請」等の審査が、標準処理期間より遅れるケースが多いようです。特にオンライン申請、東京入管での審査が標準より遅れる傾向にあるようですね。
「在留期間更新許可申請」や「在留資格変更許可申請」は、在留期間満了日の3カ月前から申請可能ですが、余裕をもって3ヶ月前から申請をしたにもかかわらず、結果通知が特例期間に入ることもあります。
このように「在留期間更新許可申請中」「在留資格変更許可申請中」に在留期限を迎えてしまう場合、入管での手続とは別に忘れてはいけない手続があります。それは、マイナンバーカードや銀行口座・クレジットカードの手続です。
特例期間とは
まず出入国在留管理庁が設けている『特例期間』についてご説明します。
在留カードを所持している人が、「在留期間更新許可申請」又は「在留資格変更許可申請」を行ったものの、在留期間の満了日までに審査結果が出ない場合どうなるのでしょうか。
こういったケースのために設けられているのが『特例期間』です。
『特例期間』により、
「審査結果がでるまで」又は「在留期間満了日から2ヵ月間」のどちらか早い日まで、今持っている在留カードで、引き続き適法に日本に在留することが可能です。
この場合、現在お持ちの在留カードに記載された在留期間の満了日を過ぎてしまうため、不安に感じる方もいらっしゃるかもしれません。結論から申し上げると、申請中であることを証明できれば、法的に全く問題ありません。
窓口申請の場合
入管の窓口で「在留期間更新許可申請」又は「在留資格変更許可申請」を申請した場合、在留カード裏面右下に「申請中」のスタンプが押されます。このスタンプが、申請中であることを証明するものとなります。また「申請受付票」を受け取りますので、大事に保管しましょう。在留カードの提示を求められるようなシチュエーションでは、裏面のスタンプを見せて説明しましょう。
オンライン申請の場合
オンライン申請をした場合は、在留カードにスタンプは押されませんが、申請後に「【在留申請オンラインシステム】申請受付番号のお知らせ」というタイトルのメールが届きます。このメールが申請中であることを証明するものとなります。在留カードの提示を求められる場合には、このメールを画面提示するか、印刷したものを常に携行して提示しましょう。
以上のように在留カードの提示を求められた場合、在留期間満了日を経過していても、裏面のスタンプやメールを提示すれば法的に全く問題ありませんのでご安心ください。
このように在留カードに関しては『特例期間』が設けられているため、カード記載の在留期間満了日を過ぎても審査結果が出るまでは、引き続き適法に在留することが可能です。
この他に、在留期間の満了日を迎えた場合、日常生活において忘れてはならない重要な手続が2つあります。
マイナンバーカードの延長手続
2024年12月2日より従来の健康保険証の新規発行は終了し、マイナンバーカードと健康保険証が一体化した「マイナ保険証」への切り替えが行われました。マイナンバーカードの作成や保有は、住民登録されている外国籍の方にとってもほぼ必須となったといっても良いでしょう。
外国籍の方のマイナンバーカードの有効期限
日本人のマイナンバーカードの有効期限は『発行の日から10回目の誕生日まで』です。一方で、外国籍の方の有効期限はこれとは異なります。
在留期間のある外国籍の方のマイナンバーカードの有効期限は、
『在留カードの在留期間満了日』です。
※在留資格「永住者」「高度専門職2号」「特別永住者」のマイナンバーカードの有効期限は、日本人と同様の発行の日から10回目の誕生日まで
期間更新許可や変更許可申請を行い在留期間が更新されても、その情報は自動的にマイナンバーカードに反映されません。そのため、新しい在留カードが発行された後は、必ずお住まいの市区町村役場の窓口でマイナンバーカードの有効期間延長手続を行う必要があります。
なお、在留期間の満了日までに延長手続を行わなかった場合、現在お持ちのマイナンバーカードは失効してしまいます。失効後は再申請が必要となり、時間や手数料が発生します。
在留資格変更・期間更新許可申請中に在留期間満了日を迎えたら
では、在留期間満了日までに新しい在留カードが発行されていないときはどうしたらいいのでしょうか。
前章で説明したような入管の審査が『特例期間』に入るケースでは、まだ審査結果が出ていない状態で、マイナンバーカードの有効期限を迎えます。
この場合は、
期間更新許可申請中・変更許可申請中である証明を持参して、
在留期間満了日(=マイナンバーカードの有効期限)までに、お住まいの市区町村役場へ、延長の手続に行かなけばなりません。
▼持参する証明
|
在留期間満了日(=マイナンバーカードの有効期限)までに手続に行くことで、マイナンバーカードについても、最長2カ月の特例期間が設定されます。
2カ月延長したあと、新しい在留カードが届いたら、再度市町村役場へ行き、新しい在留期間満了日までマイナンバーカードの有効期限を延長します。
このように、入管の審査が特例期間に入る場合は、2度、市町村役場へマイナンバーカード延長の手続に行かなければなりません。少し面倒ですが、在留期間満了日までに延長手続に行かなければ、マイナンバーカードが失効してしまい、時間も手数料も発生してしまうので、手続を忘れないようにしましょう。
銀行・クレジットカード会社への連絡
マイナンバーと同様に、在留期限と深い関係があるのが「銀行口座」や「クレジットカード」です。
在留カードを更新したら銀行へ届け出よう
在留カードを更新した場合は、速やかに更新後の在留カードを金融機関へ届け出る必要があります。この手続を怠ると、一時的に取引が制限される可能性があります。
口座の利用が制限されることで引き落としや振り込みができなくなり生活に支障をきたす恐れがあります。新しい在留カードを受け取ったら、速やかに金融機関・カード会社に届け出ましょう。
余談ですが、弊所では海外在住の方から在留資格「経営・管理」ビザについてのご相談を多くいただいております。このビザを取得したい方は、日本で株式会社や合同会社を設立してビジネスを開始するケースが一般的です。法人設立のためには、日本の銀行口座へ資本金を振り込む必要があります。
その際、海外在住の方から「10数年前に日本に留学していたときに開設した銀行口座がそのままになっているはず。この口座はどうなっているかな。」といったご質問をいただくことがあります。しかし、こうした口座はほぼ間違いなく凍結されていると考えられます。マネーロンダリングや口座売却を防ぐために、銀行の管理体制が厳しくなっているためです。
在留資格変更・期間更新許可申請中に在留期間満了日を迎えたら
前述の通り、入管の審査が『特例期間』に入る場合、審査結果がまだ出ていない状態で在留カードに記載された在留期間の満了日を迎えます。
金融機関によって細かい取り扱いは異なりますが、在留期間の満了日を経過しても何も届出がされない場合、満了日後2カ月経過すると利用に制限がかかるケースが多いようです。
いずれの金融機関・カード会社に対しても、在留期間満了日前に連絡をし、「現在申請中であるが審査がまだ完了していないこと」「新しい在留カードができ次第、速やかに届け出ること」を申告しましょう。
例)ゆうちょ銀行
例)福岡銀行
例)三井住友カード
まとめ
この記事では、在留カードの更新・変更申請中に在留期間の満了日を迎えた際に必要となる、マイナンバーカードおよび銀行口座に関する手続について解説しました。
入管には、在留期間満了日から最長2か月の『特例期間』が設けられています。この特例期間中は、在留カードに記載してある在留期限を過ぎていても審査が完了するまで適法に引き続き日本に滞在することができます。
在留期間は、マイナンバーカードの有効期限や銀行口座・クレジットカードの利用と密接に関連しています。
特例期間に入る前に、
・マイナンバーカードの延長手続
・銀行、クレジットカード会社への連絡
を適切に行いましょう。
特に、マイナンバーカードは、現在の在留期間満了日を過ぎると失効してしまい、再申請が必要になります。マイナンバーカードは、マイナ保険証として日本の生活になくてはならないものになりつつあります。在留期間満了日前に、忘れずに手続をしてくださいね!
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投稿者プロフィール
- 申請取次行政書士。外国人の在留資格に関する申請(認定証明書交付申請、変更許可申請、更新許可申請)、深夜酒類提供飲食店届出、風営許可申請を専門分野にしています。ご依頼者様の「時間」「想い」を大切に、あなたのビジネスを成功へ導きます。
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