バーやスナックなどの深夜酒類提供飲食店において、照明器具はお店の雰囲気を決定づける重要な要素です。少し暗めの照明でムーディな雰囲気を演出したり、ファンシーなカラーのネオンを活用して非日常感を強調したりと、照明は内装の大切な一部と言えます。
深夜酒類提供飲食店営業の届出に際しては、照度の基準や使用が制限される設備が定められている点に注意が必要です。届出を予定している場合は、必ず事前に基準を確認しましょう。
店内の明るさの基準
▶深夜酒類提供飲食店は、店内の明るさが20ルクス以上でなければなりません。
明るさは照度計ではかります。amazonや楽天で3000円~購入できますが、最近は携帯のアプリにも照度計があります。アプリですと精度にばらつきがあることもあるので、数値が不安な場合は照度計のご使用をおすすめします。
照度計(ルクスメーター)について
照度計ってあまり街の電気屋さんで売っているところを見かけませんよね。
私もリアル店舗ではなく、インターネットで購入しました。2種類持っていますが、どちらも海外製、角形9v型の乾電池を使用します。子供のころのおもちゃってよくこんな四角い電池がよく使用されていたなぁ、なんて、関係ありませんが思い出しました。
この照度計は、環境調査や建築現場など業務で使用する以外に、観葉植物の生育のために必要な照度をはかりたい方が購入されているようです。
先ほども少し触れましたが、最近は、スマホの無料アプリにも照度計があります。
スマホの無料アプリと、購入した照度計を比べてみましたが、同じ場所でもばらつきが生じました。私の場合は、無料アプリの方が数値が10以上低く出ました。
私がインストールしたアプリがたまたま不安定だっただけかもしれませんが、業務で使用するには現段階ではアプリではない照度計を使用した方が良いでしょう。
20ルクスってどれくらい?
さて、本題の「20ルクスってどれくらいの明るさなの?」という話ですが、NPO法人 福岡県防犯設備士協会 さんのHPに分かりやすい説明がありました。
NPO法人 福岡県防犯設備士協会 さんのHP より
50ルクス:10m先の人の顔、行動を明確に識別でき、誰であるかを明確に分かる程度 |
20ルクスは、「夜のマンションの廊下」
マンションにもよるかと思いますが、具体的で分かりやすいなぁと思いました。マンションの廊下で鍵をガサゴソ、カバンの中を探したことがある方もたくさんいらっしゃるのでは。
さらに
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「視覚的にはどんな感じ?」と思われる方のために、実験をしてみました♪
▼ 時は、10月1日18時35分。
この日の福岡の日の入りは、18:04でしたので、外は真っ暗な状態です。
▼ 1ルームの部屋を消灯して、玄関の白熱球のみ点灯。
→こんな感じ。
▼まず、電気の真下に、椅子を設置し、照度計を置いてみます。
▼数値は、【34.0ルクス】
今回、簡単に移動できたのが椅子だったもので、、、椅子の上で計測しています。
通常、風営法に関係するお店の照度を計測する場合は、お客さんが使うテーブルの上ではかりますので、テーブルの上なら、より光源に近づきますので、もう少し高い数値が出ますね。
ということで、目安ですが、これくらいの明るさがあれば、バーの深夜営業の基準をばっちりクリアできることになります。
▼じゃあ、ぎりぎりの20ルクスってどれくらいなの?ということですが、
先ほどの電気の真下から60cmほど移動したところで、、、
【24.5ルクス】
このあたりが20ルクスの明るさです。
届出を予定されている方は、参考になさってください。
コンビニの店内くらい明るい場合は照度計で計測するまでもありませんが、ムーディな雰囲気の照明の場合は、届出の前には照度計で20ルクス以上であることを確認してくださいね!
余談ですが、キャバクラやホストクラブのような風営法1号許可の場合は、5ルクス以下にならないようにしなければなりません。
店内のどこを計測するか
次に、測る場所についてご説明します。お店の中でも明るさはさまざまですよね。店内のどこではかった照度が20ルクス以上であればよいのでしょうか。
<風営法施行規則 第100条>
一 客席に食卓その他の飲食物を置く設備がある場合 当該設備の上面及び当該上面の高さにおける客の通常利用する部分
二 前号に掲げる場合以外の場合
イ 椅子がある客席にあつては、椅子の座面及び当該座面の高さにおける客の通常利用する部分
ロ 椅子がない客席にあつては、客の通常利用する場所における床面(畳又はこれに準ずるものが敷かれている場合にあつては、その表面)
つまり、
- テーブルがある場合:テーブルの上
- テーブルがない場合:椅子の座面
- 椅子がない場合は、お客さんが利用する場所の床面
で計測します。
調光器(スライダックス)とは
▶次に、明るさで注意が必要なことは、調光器(スライダックス)の有無です。
通常の住宅用の電灯のスイッチは、パチパチとONかOFFかのみ押して切り替えるものがほとんどだと思います。
スライダックス(調光器)とは、明るさを調節できる丸い回転式のスイッチや、上下にスライドさせるバー状のスイッチです。
スライダックスで店内の明るさが調整できてしまうと、深夜酒類提供飲食店としての届出が出来ません。明るさを調整できる仕様では、20ルクス以上の明るさを確保できないためです。
築浅築古に関係なく、スライダックスが(調光器)設置されている店舗さんは割と多いです。
調光器(スライダックス)がある場合
スライダックスが設置されている場合は、まず不動産管理会社に相談しましょう。
調光器スイッチをONOFFに変える工事を行う、調光部分が動かないようにプレートを貼り付ける(容易に外れないもの)、接着剤を流し入れる、釘で固定する、等の方法で光量の調節が出来ないようにする必要があります。
深夜酒類提供飲食店営業の開始届出をする際、照明に関する書類として音響照明図を提出します。この届出時には警察による実地調査は行われず、スライダックスの設置状況や照度が20ルクス以上確保されているかどうかは自己申告となります。
しかし、深夜酒類提供飲食店は警察の立入り調査の対象であり、見回りも行われています。スライダックスの撤去が必要とされる場合は必ず対応しましょう。
ただし、調光器(スライダックス)があるだけで届出が絶対に出来ないということではありません。
例えば、調光が可能な照明が一部でありその照明が完全に消灯した状態でも、他の照明(調光器でないスイッチ)により20ルクス以上を保つことができれば、届出が受理されるケースがあります。
以前ご依頼のあったお店ではスライダックスがありましたが、調光が出来るのは店内全体の電灯ではなく、カウンター上のペンダントライト5基についてのみでした。スライダックスを一番しぼった状態ではペンダントライトが完全に消灯しますが、その消灯状態でも、周りの電灯がついていれば20ルクス以上が保たれていました。
その際は、事前に管轄の警察署に相談し確認をした上で、音響照明配置図にも説明を記載しました。届出に赴いた際に、口頭でも説明をしました。
風俗営業関係の届出や許可は警察署やその担当者によって判断が異なる場合が多くあります。まずはスライダックスがある場合、管轄の警察署に事前に相談し確認しましょう。
深夜酒類提供飲食店届出の参考資料
福岡県警察中央警察署が公開している「深夜における酒類提供飲食店営業の新規開始届出に必要な書類」一覧表をご紹介します。
非常に分かりやすく整理されているため、届出の際にぜひ参考にしてください。ただし、他の都道府県警察へ届出を行う場合は内容が異なる可能性がありますので、必ず提出先の警察署で確認するようにしましょう。
▼お好みの方法でお気軽に▼
投稿者プロフィール
- 申請取次行政書士。外国人の在留資格に関する申請(認定証明書交付申請、変更許可申請、更新許可申請)、深夜酒類提供飲食店届出、風営許可申請を専門分野にしています。ご依頼者様の「時間」「想い」を大切に、あなたのビジネスを成功へ導きます。
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